マイスターインタビュー

マイスターインタビュー

猪俣 祐次

経験を積んでからも
人から認められることは
大きな励みになります

「雨漏りしたら建物ではない!」という姿勢のもと、シートやウレタンなどを用いて徹底した防水対策を施す職種。とくにシート防水に関しては1ミリ2ミリ単位にこだわる正確性が求められます。建物完成後も仕上がりがそのまま見えることもあり、見た目の美しさも重要です。

言うと驚かれるんですが、前職はケーキ職人なんです。結婚を機に、義父の会社に入り、防水の仕事を始めました。どちらも手先を使う仕事ですし、器用なほうだから――と飛び込んだものの、最初は勝手が分からず苦労しました。材料を家に持ち帰って、自主練なんかもしましたね。そのうち小さな現場に一人で行かされるようになって、一般住宅を一日三軒くらい。朝から晩まで働いて、昔ながらの「体で覚える」というのでしょうか。おかげで根っからの仕事人間になりました。

十年前、マイスターの資格をもらった頃は、「マイスター?そりゃなんだ」くらい知られていませんでした。自分も何も知らなかったので、人に聞かれて説明したりしているうちに制度について覚えていったようなものです(笑)。マイスターが認知されてきたこと、自分が経験を積んだ時期が重なったこともあって、それ以降は直接現場の監督と打ち合わせをしたり、よく頼られるようになったかな。無口なほうですから、前は現場に行って一言も喋らずに、帰ってくるなんてこともあったんですが、そういうわけにもいかないでしょ。自分が成長するきっかけにもなりました。

職人を続けていると、マイスターのように認定されたり、表彰されたりすることが意外とあるんです。令和元年度には国土交通省から建設マスターをいただきました。学校に通ってる時は表彰状なんかもらったことないのに、おもしろいもんですよね。そのために頑張るわけではないし、家族も「あらそう」ってくらいで。でも大人になってからだって、キャリアを重ねてからだって、人から評価されることは素直にうれしい。もちろん一番うれしいのは、お客さんに「きれいな仕上がりですね」って認めていただくこと。そんな言葉が自分を育ててくれたんだと感謝しています。

マイスター

協力会社 社長 徳重 隆二さん・シニアマイスター 猪俣 祐次さん