マイスター座談会
正解を"探す"のではなく"一緒につくりたい" マイスターと考える理想の働き方

ワークライフバランス・外国人技能実習制度――時代のテーマに一言あります!

一年を締めくくる恒例行事となったマイスター座談会。今回もさまざまなキャリアを持つ10名が集まりました。顔見知りであればもちろん、初対面でも「おはようございます」の一言で打ち解けるのは、さすがコミュニケーションの要役を務めるマイスターです。第一部では、ワークライフバランス、外国人労働者といった時代のキーワードが取り上げられました。他業界に先んじて、さまざまな課題に直面してきた建設業界。マイスターには熱い意見があるようです。

働き方改革は「職人の生活」に根ざしたものであるべき

座談会は、八木調達部長のご挨拶から始まりました。「今日は、キーマンがこんなに大勢集まられたので、現場から恨まれていないか心配しています。私が海外勤務の経験から実感したのは、日本の協力体制の素晴らしさです。現場の職人一人ひとりが力を出し合い、調和して、物事を成し遂げていく。なかでも、他職のこと、作業所全体のことにも目を配ってくださるマイスターの貢献は大きいと感謝しています。ぜひ今日は、作業所をもっとよくしていくヒントを得られたらと思います」

最初のテーマは働き方改革について。休日に充分リフレッシュし、仕事に備えよう、という社会全体の意識変化をマイスターはどう感じているのでしょうか。

「自分が仕事を始めた頃は、週6日仕事が当たり前でしたが、今は体を休める時間を確保できる。若いときの頑張りのツケが溜まって、長く働けないなんてことになっては困るでしょ。やはり職人は体を大切にしてほしい」
「"休みはしっかり確保したい"というのは当然の気持ちなのに、なかなか個人からはいい出しにくいところがあるでしょ(笑)。こういうものこそ強力なトップダウンがいいですよ。まず枠組みを作ってしまえば、ベテラン勢も含め"そういうものなのか"と受け入れるし、業界に馴染んでいくのではないでしょうか」

幅広い年齢層のマイスターが集まっていますが、オンオフをきっちり分ける働き方改革については、全員が肯定的です。ただ、現在は環境づくりの途上とあって、さまざまな課題に気づくこともあるそうです。

「4週8閉所を守ることで、最終作業のスケジュールが厳しくなってしまうことがあるんですよ。たとえばクロスなどは、残業を制限されると人を増やさなくてはいけない。そのために人を入れるとコストに無駄が生じてしまう。難しい問題だなと実感しています」
「何より大切なのは安全面の確保。余裕をもったスケジュール作りが無事故につながるわけだから。そこはきっちり確保していきたい」
「給与面のこともありますね。土日の休みに他の現場に行くなんてことになれば、働き方改革にはならない。休むことも職人の仕事だという考えを根付かせていくことが大切です」

働き方改革が、職人の生活に密着したものになるために――。常に現場全体のことを考えて働くマイスターならではの意見が次々と寄せられました。

座談会

存在感を増す外国人労働者
密なパートナーシップを築くには

皆さんの職場に外国人労働者はいるでしょうか。外国人技能実習制度により、人数も増え、大事な戦力になりつつあります。マイスターにとって彼らはどんな存在なのでしょう。

「"学びたい"という意欲が強いせいか、真剣に取り組むし、私たちも見習いたいようなガッツがあります」
「確かに真面目です。ちょうどコロナの時期に来日したベトナムからの研修生は、仕事がない間ひたすら日本語を勉強して、かなり話せるようになっていましたね。そのせいで次に来た研修生は先輩に頼ってあまり言葉を覚えなかったけど(笑)。そういう助け合いのなかで、チームワークよく頑張っています」 「だからこそ、仕事を覚えて、さあこれからというタイミングで帰国してしまうのが惜しい。本人もやりがいが出てくる頃でしょ」

せっかく育てた人材が、帰国してしまうのは残念だという意見は、多くのマイスターが共感するところ。そして、育成にあたっては、コミュニケーションの工夫もあるようです。

「3年くらい滞在していると、かなり意思疎通はできますね。こちらも翻訳機を持ち歩いていますよ(笑)」
「私はイラストを使っていますね」
「作業中はつい早口の指示になってしまう。だから大切なことは休憩時間に話します。次の作業を想定して、予め言っておく。これは準備のひとつで怠ってはいけないものです」
「私も安全については、現場を一緒に確認しますね。"ここはダメ"って手で×を作って、しつこいくらいに伝えます」

それぞれが、経験のなかで身につけたコミュニケーション。マニュアルにとどまらない、心の交流があるようです。その他「長く働けるよう制度を整える段階に来ているのではないか」「永住権が持てるようにならないだろうか」など、寄せられた声からは、一緒に働いた仲間を大切にしたい、というマイスターの思いが感じられます。

座談会

まだまだ続く熱い議論。第二部も合わせてご覧ください。