マイスター座談会
十人十色の意見を持つマイスターだからこの世界はおもしろい!

「若者が安心して働けるように」マイスターから次世代への思いとは

マイスターたちは若い力に大きな期待を寄せています。"自分のころとは時代が違うから"と思いつつ、若手を理解したい気持ちは人一倍。そして、築いてきた自分の技術や経験を伝えていきたい、という強い願いを持っています。

"お金"なのか"休み"なのか 今の若者は何に惹かれるのか

若者が求めているのは、お金なのかプライベートの充実なのか。座談会で毎回白熱するのがこの議論です。

「若い人は、友だちと旅行に行きたいとか、子どもの運動会に行きたいとかあるだろうから、あまり仕事ばかりではつらいかなと思うんですよね」
「いや、やっぱり稼げることに魅力を感じて建設業界に入る若手が多いから、その思いに応えていったほうが…」

どちらの意見にも説得力があります。今回はさらに議論が発展し

「働けば働くほどお金になるというのは、いい面もあるけど、体を壊すきっかけにもなる。無理せず長く働く大切さは、年を重ねると実感しますよ。だから、仕事においては"見える化"するメリットは大きい。月給化なども人生設計が立てやすくなりますよね。将来の子どもの教育費、住宅ローンとか、長期的な視野でライフプランが見えるでしょ」
「人によって選べるというのはどうでしょう。働き方、お給料のもらい方も、個々の事情を実現できる柔軟性があるといいのかもしれない」
「残業や土日出勤の手当をもっとしっかり明示するのもよいですね。数字を分かりやすくすることで"こんなに稼げたんだ"と思えばモチベーションもあがるし、"労働の対価としての報酬"という意識が高くなると思う」

マイスター10人から、これだけ多様な意見が寄せられます。皆さんも、それぞれが自分の望む人生設計を明確にして、積極的に伝える姿勢が求められてくることでしょう。

座談会

若手と一緒に歩む マイスターでありたい

この日集ったマイスターは職種もキャリアもさまざまですが、ほぼ全員、マイスターになってから仕事への取り組みが変わったそうです。具体的には「模範になる存在であるよう意識するようになった」「他職の職長との意思疎通を大切にするようになった」「周囲から注目されていることを感じるようになった」「仕事への意欲や責任感が増した」など、前向きな変化です。

「マイスターに認定されると、周りからの目が変わったと実感するんですよ。自分の意見が通りやすくなる。他職との調整もスムーズにいくから、全体がうまくまわっていくというか。だから若い人もマイスターを目指してほしい」
「報奨金もありますからね。ま、我が家の場合は、自分のところはスルーして奥さんのところに行くけど(笑)、家族の協力あっての仕事ですから。目に見える報奨というところでも、若手がマイスターを目指すきっかけになればいいですよね」

そして、若手とのコミュニケーションについてはこんな気持ちがあるようです、

「正直、コミュニケーションを取るのが難しいと感じる場面はありますよ。自分の若いころを基準に話そうとしても、今は価値観がさまざまだからね。なるべくこちらから話しかけて、きっかけをつくりたいんだけど」
「この仕事は、自分で体感しないとわからないことが多いでしょ。たとえば達成感は、きれいに仕上がったり、建物が完成したときに、肌で感じるものだから。若い人には"時間がかかるかもしれないけど、必ずわかるよ"って言いたいんですけどね。それを実感できる場面を作ることが必要なのかな」
「最近、仕事のケンカができなくなってね。言いたいこと言うと、とくに若手は引いちゃうから。ケンカっていっても、悪いもんじゃなくてね。お互いの意見を言い合って、よりよいものにしていくプロセスでもある。そういうコミュニケーションができる頑丈さみたいなのがほしいかなぁ」

キャリアを重ね、マイスターになったからこそ、若手からの相談や、寄せられる信頼が、とてもうれしいという声がありました。マイスターから伸ばされた手を、ぜひ皆さんもしっかりつかんでください。

座談会は、八木部長の言葉で締めくくられました。

「じつは30年前、こちらにいらっしゃるグランマイスターと仕事をしたことがあります。いろいろなことを教えてもらったなぁと、当時を懐かしく思い出しました。日本の現場は、職長さん、作業員の皆さんなくしては成り立ちません。そのレベルは世界に誇れるものだと、日々実感しています。今後もお力添えをいただきたい。ありがとうございました」

マイスターたちが築いてきた道が、皆さんによってさらに広がり、やがて新たな時代に引き継がれていくことが望まれます。次回の座談会はどんなテーマになるのでしょう。どうぞご期待ください!

座談会